( 2009年02月12日発行)
|カテゴリー 上田エリア
Vol.29 特集■戦国を駆け抜けた真田一族の里を巡る1615年、大阪夏の陣。
徳川家康をあと一歩のところまで追いつめ、敵方の島津家久に「真田日本一の兵(つわもの)」と言わしめた、真田幸村。
歴史ファンのみならず、多くの人々を魅了する真田家。
幸隆、昌幸、信之・幸村と、激動の戦国時代を生き抜いた真田家三代が拠点としたのが現在の上田市です。

今回は、真田一族の歴史をたどりながら、「ゆかりの地」を訪ねてみましょう。

※「幸村」という名は小説や講談で名付けられたもので、正確には「信繁」。
■真田といえば六文銭
幸隆は、上田市真田(旧真田町)で真田家を興しました。
その真田の地にある菩提寺の長谷寺(ちょうこくじ)に幸隆とその妻、息子の昌幸が眠っています。

寺の石門に刻まれるのは六文銭。幸隆の代から掲げられた真田の旗印です。
六文銭とは三途の川の渡し賃のこと。「死ぬ覚悟」で主君の武田信玄への忠誠を示したものだともいわれています。

門の脇には、見事なしだれ桜。
戦乱の世を生き抜いた一族の歴史、その強さとはかなさを感じずにいられない場所です。
Vol.29 特集■戦国を駆け抜けた真田一族の里を巡る


■希代の知将 昌幸
幸隆の跡を継いだ昌幸は、戦国屈指の「知将」。
(天下分け目の「関ヶ原の戦い」で、昌幸が一族の血を守るため、長男である信之を東軍に、自分と次男・幸村は西軍にと分けた逸話は有名ですよね。)

1582年の「本能寺の変」などで、武田・織田と、領主をたてつづけに亡くした信濃の国は混乱に陥るのですが、そんな時勢の中でも足元を固めるため、1583年に昌幸は「上田城」の築城を始めます。

南は千曲川、北と西に矢出沢川(やでさわがわ)を引き込み、天下に誇る堅城だった上田城。実際、2度も徳川の大軍を退けた実績もあるんですよ。

中でも「奇跡の戦い」として語り継がれるのは、「第二次上田合戦」。
関が原に向かう徳川秀忠の軍は3万8千。立ち向かったのは、わずか2千の西軍・真田昌幸。
いくら城があると言ってもその兵力差はほぼ20倍!

しかし昌幸は、地形を生かし、そして秀忠の心理を読んだ戦略により、徳川軍に大きな打撃を与えて足止めに成功しました。(秀忠の関ヶ原合戦遅刻の一因と言われています。)

しかし、昌幸の奮闘もむなしく、関ヶ原の合戦では西軍が敗北し、昌幸は上田の地を去ることとなってしまったのです?。

Vol.29 特集■戦国を駆け抜けた真田一族の里を巡る
左:現在は公園となっている上田城跡。千本桜まつりが行われる信州屈指の桜の名所
右:今では大分離れているが、当時は城の崖のすぐ下(太鼓をたたいているあたり)を千曲川が流れていた



この上田城にも数々の伝説が残っているんです。
(1)上田城跡公園の真田神社内の大きな井戸は、3キロほど北にある太郎山中腹の井戸に繋がっていて、忍者が行き来していた…。
(2)石垣に使われている直径3メートルの巨大な「真田石」を、信之が松代移封のときに持ち去ろうとしたがぴくりとも動かなかった…。
などなど。こうしたさまざまな伝説が生まれるのも、人気一族・真田家らしいですよね。


■伝説の武将 幸村
そして、昌幸の次男であり、戦国最後の英雄・幸村。

実際の幸村も数々の武勇伝が伝わる武将なんですが、ここまで彼が人気者となったのは、ご存じ「真田十勇士」をはじめとする後世つくられた物語のおかげです。

真田十勇士には幸村のほか多くの魅力的なキャラクターが登場しますが、中でも特に人気なのが「猿飛佐助」。忍者系漫画には必ず名前が出てきますよね。

美男子だったなんて噂も残る「霧隠才蔵」は、司馬遼太郎「風神の門」では主役として描かれています。

そんな十勇士の伝説が残るのが、長谷寺からさらに山奥に入った角間渓谷。
あまりメジャーではありませんが、切り立った岩に囲まれた、美しくも手軽な「秘境」です。ここで十勇士が忍術の修行をしていたという伝説も信じてしまいそうな場所ですよ。
渓谷の奥に湧く「角間温泉」は、真田の隠し湯とも伝えられる秘湯です。

Vol.29 特集■戦国を駆け抜けた真田一族の里を巡る秘境の角間渓谷の岸壁には、岩屋観音が祀られている



■真田を愛した文豪 池波正太郎
真田一族にまつわる小説は数あれど、「真田太平記」は別格。
「鬼平犯科帳」や「剣客商売」など、数々の時代小説を残した池波正太郎さんの傑作です。
池波さんは、誰よりも真田一族を愛し、いわゆる“真田もの”を20編以上も書いているんです。

執筆の際に、上田の地を頻繁に訪れ、実際に多くの旧跡をめぐった池波さん。「東京にいて、折にふれ、上田の人々の顔をおもい、上田の町をおもうことは、私の幸せなのである」とも言われました。

そんな、真田一族と上田の地を愛した池波さんの足跡が「池波正太郎 真田太平記館」に数多く残っています。シアターや切り絵などの展示をはじめ、からくり絵が楽しめる「忍忍洞」は子どもにも大人気!

Vol.29 特集■戦国を駆け抜けた真田一族の里を巡る

左:執筆にまつわる様々な資料が常設展示されている
右:からくりが楽しい、忍忍洞



この他にも、上田城跡公園の「上田市立博物館」や上田市真田の「真田氏歴史館」、さらに長野市松代の「真田宝物館」を巡れば、いっそう真田のことが分かるはずです。

知れば知るほど面白くて、さらに不思議になるのが歴史ロマン。
戦国の世を駆け抜けた真田一族の足跡をめぐる旅へ出かけてみてはいかがですか。


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